13:00〜13:05 挨拶:原田和樹(水産大学校食品科学科教授)
13:05〜13:35 刺身を美味しく食べられる魚の取り扱い方:前田俊道(水産大学校食品科学科
准教授)
魚の鮮度や美味しさは、水揚げされる前の魚の生理状態、水揚げ時に受ける魚のストレス、そして水揚げ後の脱血処理や神経処理などの魚体処理法により大きく影響を受けます。幾つかの実験データや業者の事例を取り上げ、最適な魚の取り扱い方法についての重要なポイントをご紹介します。
13:35〜14:05 近海まぐろはえ縄漁船海青丸による新たな試み:水産総合研究センター開発
調査センター 調査員 鶴 専太郎
【目的】
日本の重要な漁業のひとつである近海まぐろはえ縄漁業は,資源の減少,魚価の低迷,燃油の高騰及び船体の老朽化などの問題をかかえ経営困難な状況に陥っている。このような状況を改善して,経営の安定を図るため,省人化や経費の節減,労働環境並びに居住環境の改善を行った新たなタイプの漁船による採算性の実証をおこなった。更に鮮度保持による付加価値向上を企図した,新たな製品処理法による品質の向上について検討した。
【方法】
直巻きモノフィラメントリールシステムによる省人省力化とシャーベット状海水氷による初期冷却効果の向上などを盛り込んだ新造船「海青丸」を用いて操業を行った。新システムによる投縄技術の確立の目処を1操業当たりの釣針数とリールのブレーキ使用頻度により判断した。更に,シャーベット状海水氷を用いた場合と従来の方法で処理した漁獲物の体内温度の変化を把握し,冷却効果を比較した。また,それらを用いた場合の漁獲物の鮮度比較を行った。併せて,市場評価を把握するため,試験販売,インターネットアンケート調査をおこなった。
【結果】
新たなシステムを用いた操業技術の開発は一定の成果が得られている。漁獲物の付加価値向上においては,シャーベット状海水氷処理製品は,氷蔵製品に比べ魚体温度を短時間で下げることができること,官能検査の結果からは色目が落ちにくく,ドリップも出にくい傾向がみられた。さらに,氷蔵製品に比べてK値の上昇が抑制されることが確認される等,初期冷却による鮮度保持効果に優位性があることが示唆された。試験販売における刺身試食では,88%の試食者が美味しいと評価した。今後は気仙沼地区近海まぐろ延縄漁業を支えるメカジキの相対評価の底上げを図るため,インターネット調査の結果に基づき刺身としての需要創出を検討することとしている。
14:05〜14:35 乳化すり身の技術開発:独立行政法人水産大学校食品科学科講師 福島 英登
フジミツ(株)との共同開発により、魚油をすり身に乳化させた「乳化すり身」の開発に成功しました。特別な乳化剤等は使用していませんが、油球サイズは10μm以下になっています。魚油にはDHA・EPAなど多く含まれることから、機能性食品への利用が考えられます。また、乳化すり身を原料に様々な物性の食品を作れることから、介護食品としての利用も提案させていただきます。
14:35〜15:05 魚の脂質の簡易測定法の開発:水産大学校食品科学科 准教授 田中竜介
水産物に含まれる脂質は、EPAやDHAなどn-3系高度不飽和脂肪酸を含み、様々な健康機能性を発揮するため、水産物に含まれる脂質含量に関する情報は非常に有用であり、その値は商品価値にも影響を与えている。現在、魚肉を対象とした脂質含量の測定は公定法(Soxhlet法)によるが、引火性や健康危害性を有する有機溶媒を用い、専用の実験設備を必要とする。また、精秤操作が必須で、分析が長時間、グラム程度の試料量など問題点が多い。
演者らの研究室では、これらの脂質含量測定法の煩雑さを改良するために、本来は脂質の酸化・分解物の測定法であるチオバルビツール酸(TBA)反応を、抗酸化剤の添加操作を意図的に省いた系で行う方法を新たに着想して、種々の検討を実施した結果、簡便・迅速で、秤量操作を必要としない魚肉脂質の新規測定法を開発した。本方法は、脂質含量のレベルを色による目視で判断することができることを特長とし、少量の分析試料、短時間での分析、低コストでの分析も可能である。
15:05〜15:30 総合討論(司会:原田和樹)
(東京シーフードショー水産大学校ブース・シンポジウム世話係:原田和樹)